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2024/07/16 再生医療

デモ品でTRY~細胞の常温輸送における温度帯の決め方~

細胞の輸送において「温度」は重要な要因の1つです。iP-TEC®では常温輸送時の温度管理を解決するデバイスである三次容器や蓄熱材など最適な商品をラインナップしています。

輸送する際はさまざまな外的要因があり、輸送温度帯の選択や季節に応じた対策が必要です。数ある三次容器と蓄熱材から最適な組み合わせを見つけ、輸送条件を決めることは容易ではないでしょう。そのような悩みを解決するため、iP-TEC®ではデモ品の貸し出しを行っていることをご存知でしょうか。

当記事では輸送温度帯の決め方やデモ品での検証、最終的な実輸送に向けてまでのイメージにつながるデータを紹介します。

1.細胞を常温輸送する時の輸送温度帯はどのように決めたらよいのか

輸送目的、検体の種類、輸送先での取り扱いなどに応じて適切な条件があります。輸送検体の種類や形態、培養方法、輸送時間などの条件を網羅するのは難しいですが、これまで相談を受けた項目をざっと羅列すると、以下のようになります。

 ・細胞の種類や形態:

   接着細胞、浮遊細胞、スフェロイド、シート状など

 ・輸送目的:

   検体そのものの評価や観察、検体加工、検体使用

 ・輸送先での取り扱い:

   受け取った後にすぐ使用するかどうか、保管する場合はその温度帯は何℃か、

   到着後BOXをすぐ開封するかどうか

 ・容器や培地、試薬:

   温度応答性のものが含まれているかどうか、適切な温度設定が定まっているものがあるか

 ・輸送時間や季節:

   国内または海外、暑いまたは寒い

 ・輸送頻度や検体重要度(替えの利くサンプルかどうか)

すべての条件を満たす資材選択が理想的ですが、取捨選択の必要な場面を念頭に置いて輸送前に整理していただけると、スムーズに進むことが多いです。

では、このように複数の要素が絡む常温輸送において、どのように輸送温度帯を決めればよいでしょうか。iP-TEC®が推奨する方法の一つは、「デモ品(サンプル)で検証し決定する」ことです。

2. それぞれの温度帯の長所・短所

iP-TEC®が提唱している常温輸送時に使用する蓄熱材は4種類あります。

 ・36℃:培養時に最も近しい温度帯のため、細胞への温度ダメージリスクは最小です。細胞の代謝

     は培養時とほぼ同等で、細胞増殖は活発であると考えられます。

 ・24℃:ラボ内の室温を想定した温度帯で、温度ダメージリスクは小さいです。細胞の代謝には

     若干影響があり、その分細胞増殖は抑えられます。

 ・17℃:ラボ内の室温よりやや低い温度帯で、安全キャビネット等のファンの影響を受けやすい

     箇所をイメージしています。温度ダメージリスクは小~中程度です。細胞代謝には影響を

     受け、24℃と比較するとやや大きいと考えられます。

  ・5℃:常温輸送の中で最も低い温度帯であり、細胞およびその代謝への影響は大きいです。

      その半面、試薬や培地の保管で使用される馴染み深い温度帯でもあります。

輸送検体の種類や形態、培養方法、輸送時間など各条件によって、適切な温度帯は左右されると考えられます。実際に細胞を用いて検証を行うことが確実だと思われますが、それでも4種類あると何を選んでよいか分からないこともあるでしょう。特にラボ内であまり見かけない「17℃」や「24℃」で検体がどのような挙動を示すのかは、不透明な場合が多いです。

3. iP-TEC®がデモ品を推奨する理由

ここでポイントの一つとして、iP-TEC®の三次容器および蓄熱材はすべて購入前にデモ(試用)が可能であることを強調したいです。実際にデモ品でデータを取っていただき(可能であれば検体で評価していただき)、適切な組み合わせが分かってから資材購入に踏み切ってほしいです。事実、異なる温度帯の蓄熱材(例:24℃と17℃)を同時にデモ検証し、片方のみを購入いただくユーザー様は多いです。

使用する三次容器および蓄熱材の組み合わせによって、輸送時の温度維持が左右されます。特に蓄熱材使用前に行っていただく調温作業については、別ページにて記事化しています(参考URL : こちら)。一読いただけると有難いです。調温作業のイメージをつかんでいただくこともデモ品での検証を推奨する理由の1つでもあります。ぜひお気軽にデモ品について問い合わせ(URL:こちら)をしていただき、使い倒す気で試してほしいです。

実際にデモ可能な製品は、三次容器、蓄熱材と周辺機器(温度ロガー等)があります。貸出期間は2~3週間を基本としていますが、検体の状況などに応じて延長可能です(他ユーザーのデモ希望がある場合は、いったん返却いただくこともあります)。検体や培地が接液する可能性のある一次容器や二次容器については(残念ながら)デモ品はありませんが、小口から購入できるものもあるため、まずは製品群をご覧いただきたいです。

製品の使用イメージをデモ品でつかんでいただくことを力説しましたが、ここで1つiP-TEC®の社内試験結果を共有したいと思います。

検体収納済みの二次容器と蓄熱材を三次容器に収納する際、置き方によって輸送時の温度維持時間が異なる」というデータです。使用製品は以下の通りです。

  • ・蓄熱材:17℃蓄熱材 3枚
  • ・二次容器:ジップロック(中に温度ロガーと8mlチューブ×2をラックにセットし収納)
  • ・三次容器:プレミアBOX-mini6.6
  • ・試験環境:40℃庫内に三次容器を静置し、一定時間BOX内温度をモニタリング

ここで、蓄熱材と二次容器を三次容器内でどのように設置するかで2パターン試しました。

          ①二次容器の上部に2枚、下部に1枚のパターン(「上2下1」とグラフで表記)     

                                                                                                                                                                 

 

          ②二次容器の上部に1枚、下部に2枚のパターン(「上1下2」とグラフで表記)

 

三次容器内を20℃以下に保った時間を評価すると、「上2下1」が約33時間、「上1下2」が約16時間でした。同じ資材を使っていても、その使い方(蓄熱材の設置方法)の違いで、約2倍の差が生じたことになります。このことからも、製品を購入前に実物を触って使っていただく「デモ」という機会の意義がうかがえます。

百聞は一見に如かず、皆様もぜひデモ品でお試しください。

4. 夏本番!実輸送にtry

外気温の変化は季節の影響のほかに輸送方法によっても左右され、ユーザー自ら運ぶ場合もあれば、専用の輸送業者に委託するケースもあります。これからますます暑くなる夏に向けて、常温輸送の場合、車や荷台内の温度を気にされる方は多いのではないでしょうか。外気温が40℃近くなる夏場、トラックの荷台内の温度は50~70℃まで上昇するといわれています。

もちろん事前検証の上ご使用いただきたいですが(それこそデモ品の活用の機会としてよいと思います)、外気温が極端に暑い季節や寒い季節は実輸送試験を行うのにぴったりな時期です。実輸送試験のメリットとしては、外気温や振動のリアルな変化がデータとして得られるほか、調温や梱包、検体の引き渡し作業を実際に行うことでチェックすべき項目の整理ができるなど、ラボ内では得難いものがあることです。最初の試験時には、もしもの場合に備えて検体と一緒にユーザーが移動することもあるでしょう。

まずは国内輸送での過酷な場面を想定し、「夏の沖縄」や「冬の北海道」あたりで輸送データを取ってみてはいかがでしょうか。

まとめ

常温輸送でポイントとなる輸送温度帯について今回取り上げました。iP-TEC®で提供できる温度帯は4種類ありますが、輸送時の適切な温度帯を選択するには様々な要素があるため、即決が難しいこともあります。そこで、購入前に製品をデモすることで、個々の状況に応じた適切な製品選定が可能となります。貸出期間中にデモ品を用いてラボ内で検証するのも良いですし、夏真っ盛りのこの時期だからこそ実輸送を行うのも良いです。まずはお気軽にトライしていただきたいです。