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2025/06/02 再生医療

薬機法と薬事法の違いは?薬機法の対象と規制内容を解説

薬機法は、医薬品や医療機器などの品質と安全性を確保し、国民の健康を守るための重要な法律です。製品の製造・流通・販売・広告など、すべての段階において適切な管理を求めており、医療・美容・健康に関わるビジネスを行うときは薬機法に注意する必要があります。

当記事では、薬機法の基本的な仕組みと薬事法との違い、主要な規制の内容や違反した際の罰則などを分かりやすく解説します。これから医薬品等に関わる事業に携わる方や、広告表現を扱う方は、薬機法について知識を身につけておきましょう。

1.薬機法とは?

薬機法とは、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の通称で、医薬品や医療機器、化粧品、医薬部外品などの製造・流通・販売・広告などに関して、品質と安全性を確保しながら国民の健康を守ることを目的とした法律です。

出典:e-GOV法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

適切な認可や届出を経ずに対象商品を流通させたり、効果効能を誇張して広告を行ったりすることは、違法行為として厳しく取り締まられます。薬機法について理解することは、関連商品の製造や販売、広告に関わる事業者にとって欠かせません。

1-1.薬機法と薬事法の違い

薬機法は、2014年までは「薬事法」という名称でしたが、法改正によって現在の法律となりました。法改正の際、名称だけでなく内容も大きく見直されています。

特に、医療機器に関する規制が見直されたり、iPS細胞などを活用する再生医療等製品が新たに定義され、早期承認制度を含む独自の規制が設けられたりなどの変更がありました。法改正により、医薬品・医療機器・再生医療等製品それぞれの特性に応じた制度設計がなされ、より実態に即した法律となっています。

1-2.薬機法の対象となる商品

薬機法では、「医薬品等」と呼ばれる5種類の商品を対象に規制を設けています。ここでは、対象となる商品の定義や特徴を解説します。

・医薬品

医薬品とは、疾病の診断・治療・予防、または身体の構造・機能に影響を及ぼすことを目的とした製品を指します。人体に与える作用が大きいため、薬局医薬品やOTC医薬品など、分類に応じて販売規制が設けられています。

・医薬部外品

医薬部外品は、体臭・口臭・あせもなどの防止や、育毛・除毛といった目的で使用される製品であり、人体への作用が比較的緩やかなものとされています。また、害獣・害虫よけに使われる一部の製品も医薬部外品に該当します。医薬品よりも規制は緩和されていますが、安全性を確保するため一定の届出が必要です。

・化粧品

化粧品は、身体を清潔にし、美化し、魅力を増す目的で使用される製品で、皮膚や毛髪を健やかに保つ作用があるものです。使用方法は塗布や散布などで、作用は緩やかである必要があります。

・医療機器

医療機器とは、疾病の診断・治療・予防、または身体の構造・機能に影響を与えることを目的とした「機械器具等」です。リスクに応じて「一般医療機器」「管理医療機器」「高度管理医療機器」などに分類され、規制内容が異なります。

・再生医療等製品

再生医療等製品は、細胞や遺伝子を用いて身体機能の再建や疾病の治療・予防を目的とした製品です。たとえば、患者自身の細胞を培養して作られる皮膚や軟骨、遺伝子を導入した細胞製品などが含まれます。新たな技術への対応として、薬機法では専用の承認制度が導入されています。

出典:e-GOV法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」

2.薬機法で定められている内容

薬機法では、医薬品等の製造・販売・広告・取扱いに至るまでさまざまな規制を設けています。規制によって国民の健康被害を未然に防ぎつつ、医療技術の発展や流通の健全性が確保されています。

出典:e-GOV法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」

ここでは、薬機法における代表的な規制内容について解説します。

2-1.製造・販売規制

薬機法では、医薬品や医療機器などの製造・販売などを業として行うには、事前に所定の許可または登録を受ける必要があるとされています。許可なく行った場合は薬機法違反として処罰の対象となります。

許可制の対象には、薬局の開設や医薬品等の製造販売、販売行為、高度管理医療機器の貸与、医療機器の修理などが含まれます。一方で、体外診断用医薬品や医療機器の製造については登録制となっています。医療にかかわる製品は人の健康に直結するため、事業を始める前に適切な許可・登録手続きが必要です。

出典:e-GOV法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」

2-2.広告規制

薬機法では消費者の誤認を防ぐために医薬品等の広告に関して厳格な規制を設けており、規制の対象は製造業者や販売業者に限らず、ライターや広告代理店、アフィリエイターなども含まれます。下記は、薬機法による代表的な広告規制です。

・誇大広告の禁止

たとえば「この薬を使えば必ず治る」「100%効果がある」といった根拠のない断定表現や、あたかも医師が推奨しているように見せかける広告は、消費者に誤解を与えるため違法となります。広告文中に明示的に表現していなくても、暗示的な内容でも違反とみなされる点に注意が必要です。

・承認前の製品に関する広告の禁止

承認を受けていない医薬品、医療機器、再生医療等製品について広告を行うことは禁じられています。未承認の治療機器の効果を保証するような宣伝をした場合、薬機法違反となる可能性があります。

また、他社の商品を貶めるような表現も好ましくないとされており、比較広告を行う際は対象製品の名称を明示し、自社製品の範囲で行う必要があります。

出典:e-GOV法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」

出典:厚生労働省「医薬品等の広告規制について」

2-3.取扱い規制

薬機法では、医薬品等の販売や容器表示に関しても、消費者の安全確保を目的として厳しいルールが定められています。

まず、医師による処方箋が必要な医薬品は、正当な理由がなければ処方箋を持たない者に販売することはできません。また、容器や被包には製品名・成分・使用方法などの記載が義務付けられており、虚偽や誤解を招く内容、未承認の効能や効果を表示することは禁止されています。

薬機法に違反する医薬品の販売は法律で禁じられており、違反した場合は刑事罰の対象となる可能性もあります。

出典:e-GOV法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」

3.薬機法を違反するとどうなる?

薬機法に違反した場合、行政処分や課徴金、さらには刑事罰に発展する可能性があります。特に虚偽・誇大広告や無許可販売などは、消費者の健康を損なう重大なリスクとされ、違反行為の内容や悪質性に応じて厳しい制裁が科されます。事業者は法令を遵守するよう注意しましょう。具体的には、次のような罰則が発生します。

刑事罰
薬機法に違反した行為が悪質と判断された場合、懲役刑や罰金刑といった刑事罰が科される可能性があります。たとえば、無許可で医薬品を製造・販売した場合には、3年以下の懲役または300万円以下の罰金、もしくはその両方が科せられます。また、虚偽や誇大な広告を行った場合も、2年以下の懲役または200万円以下の罰金の対象となります。
行政処分
薬機法違反に対しては、刑事罰に加えて行政処分が科される場合があります。主な処分内容には、製品の廃棄・回収命令、業務改善命令、業務停止命令、措置命令、そして許可や登録の取消などがあります。これらの処分は事業の継続に大きな影響を及ぼします。
課徴金納付命令

2021年の法改正により導入された課徴金制度は、薬機法違反に対する経済的制裁の1つです。主に虚偽・誇大広告などの違反に適用され、行政処分や刑事罰とは異なる形での制裁手段となります。

課徴金の金額は、違反が行われた期間中の対象商品の売上額に対して4.5%を乗じた金額です。違反期間が最長3年とされていることから、違反の長期化により非常に高額となるケースもあります。企業は、法令違反が経済的損失に直結することを強く認識しておきましょう。

出典:e-GOV法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」

出典:厚生労働省「医薬品等の広告規制について」

まとめ

薬機法は、医薬品や医療機器といった健康に関わる製品の安全性と適正な利用を確保するための法律であり、製造から販売、広告、取扱いに至るまで、さまざまな規制が設けられています。以前は薬事法と呼ばれていましたが、法改正をきっかけに名称や規制内容が変更されました。

制度が変われば、ものづくりの考え方も変わっていきます。薬事法から薬機法へと移り変わり、安全性や有効性に対する視点も変化し、製品開発の現場には、より細やかな対応が求められるようになりました。

iP-TEC®は、お客様の開発内容や運用フローに応じた別注容器の開発も行っており、トレサビリティや品質保証に必要な書面の発行などもお客様とご相談の上、可能な範囲で対応しております。制度の変化にしっかりと寄り添いながら、現場の声にお応えできるように製品開発に取り組んでまいります。