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海外学会報告 ~MPS World Summit 2024 @シアトル~
iP-TEC🄬では閉鎖系灌流培養をテーマにした製品開発を行っていますが、このテーマが、今、注目ワードになりつつあるMPSにも適用できるのではないかと考えています。
そこでiP-TEC🄬チームでは2024年6月に米国シアトルで開催された「MPS World Summit2024」を視察してまいりました。当記事はそのレポートとしてUPさせてもらいます。
そもそもMPSとは何でしょう?
それは、生体模倣システム(microphysiological system:MPS)の頭文字を取った略称です。MPSでは、容器やチップなどにより作成された微小な空間に、生体(in vivo)に近い培養環境を再構築したin vivo培養系のことです。
なぜ、MPSが注目されているのでしょうか?
それはiPS細胞などの幹細胞を用いた再生医療技術と組み合わせて、新薬開発において様々な利点をもたらす可能性があるからです。どのような利点でしょうか?
①精度の向上:
MPSはヒトの生体組織や臓器の機能を模倣するため、従来の動物実験や2D細胞培養よりもヒトの生理学に近いデータを提供します。これにより、薬剤の効果や毒性の評価がより正確になります。
②倫理的配慮:
動物実験の使用を減らすことができるため、動物福祉の観点からも支持されています。また、動物実験ではヒトとは異なる反応を示すことがあるため、MPSはこれを回避する手段としても有効です。
③コストと時間の節約:
新薬開発のプロセスにおいて、初期段階での新薬候補の評価にMPSを使用することで、無駄な薬剤候補を早期に排除でき、開発コストと時間の節約につながります。
④複雑な生体反応の再現:
MPSは複数の細胞タイプや組織の相互作用を再現できるため、従来の培養システムでは再現が難しい複雑な生体反応を研究することが可能です。これにより、より深い理解が得られ、新しい治療法の開発につながる可能性があります。
⑤個別化医療の推進:
患者の細胞を用いてMPSを構築することで、個々の患者に対する薬剤の効果を事前に評価することができ、個別化医療の推進に寄与します。
※画像の参照元URL:https://www.saibou.jp/column/1409/ (細胞.jp 「研究開発の窓 」 参照日2024年7月18日)
〈MPS World Summit 2024の所感〉
●先行している企業ではアプリケーションサイエンティストを数十人規模で抱えて、自分たちのMPSの実証実験、各種疾患モデルの構築などに注力している
●欧米のMPS関連企業は消耗品販売に加えて、導入支援や確立した疾患モデルでのスクリーニング受託といったサービス事業も展開している(受託サービスに特化する企業もある)
●大手製薬企業、規制当局での検証、実用化が圧倒的に進んでいる印象
MPSの創薬における重要性を改めて認識
海外MPS実用化が進んでいることを実感
MPS Summit 会場 MPS Summit 会場内 日本の企業も負けていません!
〈まとめ〉
iP-TEC🄬では引き続き閉鎖系灌流培養デバイスの開発を進め、再生医療はじめMPSの分野でも活用できるようにしていきたいと考えております。まずは研究者の方々が閉鎖系灌流培養の実験を気軽に始めることができるように、「灌流培養トライアルポンプキット」(参考URL:こちら)を製品化しております。是非お問い合わせ宜しくお願いします。
引き続きMPSに関する情報も発信していくことができればと考えております。引き続きiP-TEC🄬をどうぞ宜しくお願いします。