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学会付設展示報告~日本動物実験代替法学会 第38回@パシフィコ横浜~
iP-TEC®では11月1日~3日にパシフィコ横浜にて開催されました「日本動物実験代替法学会」に出展いたしました。テーマは“サイエンスとしての3Rsの深化と社会への波及”。会場は多くの参加者で賑わい、活気あふれる会となりました。
本学会は、動物実験に依存しない新しい実験技術や安全性評価の発展を目指し、研究者や技術者が一堂に会する貴重な機会となっています。会期中は、動物実験代替技術に関する発表・議論が行われました。
弊社ブースでは、閉鎖系灌流培養装置関連製品およびライブ輸送資材を中心に展示を行いました。製品を実際に手に取っていただきながら、ブースにお越しいただいた皆さまと直接意見を交わすことができました。当記事はそのレポートとしてUPさせていただきます。
NAMsとMPS
今回の学会でも、キーワードとして取り上げられたのが「NAMs」と、iP-TEC®でも特に注目している「MPS」です。
NAMs(New Approach Methodologies)は、従来の動物実験を代替・補完する新しい科学的アプローチの総称で、細胞を用いたin vitro試験、AIや数理モデルを用いたin silico解析、オミクス技術など、さまざまな手法が含まれます。これらは動物福祉の観点だけでなく、ヒトの生理応答により近いデータを得るための手段として、欧米を中心に社会実装が進められています。
その中でも特に注目を集めているのが「MPS(Microphysiological Systems):生体模倣システム」です。MPSは、ヒトの臓器構造や機能を模倣した微小な培養システムです。MPS内では細胞を三次元的に培養し、微細な流路を通して培地を循環させることで、実際の体内環境に近い状態を再現します。“よりヒトらしい” データを得るための科学的ツールとして発展しており、今後の薬物開発や化学物質の安全性評価の現場において、欠かせない技術になると期待されています。
弊社展示の内容と出展の所感

今回、iP-TEC®が展示したのは、閉鎖系灌流培養装置関連製品およびライブ輸送資材です。
閉鎖系培養・灌流培養は、容器と接続したチューブなどを通してポンプで新鮮な培地を循環させ、細胞や組織をより生理的に近い環境で培養する方法です。MPS(Microphysiological Systems)のように流体が動く生体環境を再現するモデルでは、この灌流制御がデータの再現性や生理的リアリティを左右します。iP-TEC®では、コンパクトで扱いやすく、既存の培養チップにも柔軟に接続できるシステムを開発・提案しており、学会では実機を展示し、ご覧いただきました。
また、もう一つの展示テーマであるライブ輸送は、培養中の細胞や組織を凍結させずに安全に移送するための製品群です。近年、共同研究やマルチサイト実験に伴い、「細胞を培養施設間でやり取りしたい」「別の拠点で解析したい」といったニーズが高まっています。iP-TEC®のライブ輸送資材は、温度や衝撃から検体を保護しながら安定して輸送できる点が評価され、今回の展示でも多くの研究者から関心やご相談をいただきました。
学会全体を通じて、NAMsやMPSが未来の技術ではなく、実験現場に根づきつつあることを実感しました。同時に、これらの技術を「研究室から社会へ」広げていくためのツールや環境整備が欠かせないという認識も感じられました。
まとめ
今回の出展を通して、NAMs・MPS分野の広がりと、そこに関わる多様な研究の進展をあらためて実感しました。
iP-TEC®では、初期検討を手軽に行えるような『ポケット灌流ポンプキット』をはじめ、流量やチャンネル数など、実験内容に合わせた製品ラインナップの拡充を進めております。さらに、研究ニーズに応じた特注容器の設計・製作にも対応しており、お客様のご要望にお応えできる体制を整えておりますので、お気軽にご相談ください。
今後もiP-TEC®は、お客様のニーズに応じた開発を進め、より使いやすく信頼性の高いツールの提供を目指してまいります。